■ 2006.1.5 Thu.
 新年早々、1月1日の日記に愛知県芸のオーケストラ、東京公演の日程を11月27日、と間違えて記入していることを畏友・森川宗弘氏から指摘された。正しくは11月29日(水)、19時開演、東京オペラシティ・コンサートホールである。詳細についてはやがてスケジュールをご覧頂けばはっきりするように致します。 今日は10時半から仙台フィルの練習。昨日とは全く見違えるようなオーケストラの反応に幸せな気分。夜は白根昭男先生とブラームスやヨハン・シュトラウスなどを勉強した後、家内ともども奥様お心づくしのお料理と素晴らしいお酒をご馳走になった。

■ 2006.1.6 Fri.
 今日は特に寒い。3時半、最後の練習。音楽会の開演は7時。毎年のことだが会場の音響があまりに酷くて、お客様に申し訳ないし、演奏者たちも気の毒である。オーケストラは集中して演奏した。

■ 2006.1.7 Sat.
 雪で新幹線が遅れ気味だというので、予定より早い電車に乗って盛岡へ。3時から30分だけ練習。毎年1月、この「名曲コレクション」で盛岡へ来るたびに思うのは、このホールの美しさと音響の素晴らしさ。どうして仙台にコンサートホールができないのだろう、盛岡にはこの他に、もう一つ素晴らしいホールがあるというのに。仙台フィルはこの素晴らしいホールに敏感に反応して特別に見事な演奏だった。アンコールの「雷鳴と稲妻」(この曲を最近は「雷鳴と電光」などというようになった)はオーケストラの充実した自発性に敬意を表して開始の合図だけで私は退場した。オーケストラは勿論すばらしい演奏で大拍手をいただいた。今夜は気持ちの良い演奏会だった。新幹線で仙台へ戻る。

■ 2006.1.8 Sun.
 お昼前の新幹線で帰京。そのまま赤坂へ、オペラの練習に直行。今日からいよいよ立ち稽古に入る。演出の白井 晃さんの精密なプランに従って練習が濃い密度で進行した。久しぶりに爽やかで、厳しく、しかも暗くならない稽古。私はとても嬉しかった。

■ 2006.1.9 Mon.
 午後、新宿で小さい買い物をしてから6時オペラの稽古に。踊り手さんたちが初めて参加。平野忠彦さんの圧倒的な存在感が頼もしい。白井 晃さんの意図がいつも明確であること、何度も繰り返して稽古して細部も充実させていくことなど、こんなに気持ちの良い稽古は珍しい。

■ 2006.1.10 Tue.
 4時半、N響練習所で尾高賞の選考。その後、少々遅刻してオペラの稽古に行く。

■ 2006.1.11 Wed.
 今日も6時からオペラの稽古。このオペラが科白の部分も重要な役割を果たしていることもあって、言葉の大切さを更に実感する。総理大臣が5回も、しつこく神社参拝を繰り返すことについての議論はこうである。「心ならずも戦場に駆り出された人たちの死を弔って何が悪い、不戦を誓って何が悪い」「東京裁判は認められない。A級戦犯は既に処刑されて、今や仏様だ」「心の問題、精神の自由の問題だ」「話せば分る」等々。しかし、A級戦犯は戦場に「駆り出した」方で「駆り出された人たち」ではない。心の問題と言うなら、国旗国歌の強制に反対する教師や国民は、過去の戦争の歴史を踏まえ、日の丸・君が代の果たしてきた役割について、当局とは異なる考えがあり、その根拠を明確にした上で、自らの精神の自由を主張して反対している。総理大臣はこの場合の精神の自由を、どう考えているのだろうか、という意見を新聞の投書欄で読んだ。戦前、戦後にわたって、現在もなお、戦争を賛美しているこの神社の役割や歴史観をはっきりさせず、単なる「信念」で戦没者に感謝と敬意を捧げるだけでは、その本質を隠すことになる、と主張しているこの意見は私が日常考えていることに極めて近い。そして、言葉をわざと曖昧にすること、全く無関係で根拠も無い理由を持ち出して返答、或いは反論したように見せかけることも言葉の破壊である。賛成できない。

■ 2006.1.12 Thu.
 午後、家内の眼科の定期健診に五反田へ。そのまま東京駅から新幹線で名古屋。

■ 2006.1.13 Fri.
 12時から県芸のオーケストラ部会だったのに私が失念していて大遅刻、先生方にご迷惑をかけた。1時からオーケストラの時間を使って毎年恒例の「音の実験工房」。作曲の北爪道夫教授の構成・司会進行。作曲科の学生4人の新作を実際にオーケストラで演奏して作曲者の意見や注文を聞き、もう一度演奏する、というのが基本の形。部分的にやり直したりすることもあるが、指揮者である私の質問に対して的確に明瞭に答えられないことに驚く。自分の意志や意見を言葉で説明できない人間が、五線譜でなら何かを表現できるとでも思っているのだろうか。それとも作曲という行為は自分が考えていること、表現したいことを音楽という形にするのではなくて、適当に音をいじって遊ぶとでも思っているのだろうか。その上、全員日本語が粗末である。「ありがとうございます」と「すみません」を連発しておけば何でも許されると思っているのは、とんでもない間違い。4つの新作で苦労させられた後で、オーケストレーションの分析、解説をするのに北爪道夫教授はR.シュトラウス「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」を使われ、いくつかの断片を、楽器の組み合わせを変えたり、一部分の楽器だけで演奏してみたり、楽器法の基本を分りやすく説明された。最後に「ティル・・・」全曲を演奏。これを演奏した音楽会は去年の11月だったというのに、オーケストラが実に見事だった。私もオーケストラも思う存分R.シュトラウスの世界を楽しんだ。何という若者たち!!

■ 2006.1.14 Sat.
 8時、古澤先生の定期健診。今日は腹部のエコーとバリウムも飲んだ。大きな変化はなさそうである。この季節にしてはとても珍しいほどの大雨。雪がたくさん降った地域の雪崩などが心配である。