|
■ 2005.1.10 Mon. 生命科学者の柳澤桂子さんが「現在の科学は、お金を儲けることを最上の目的としている。日本でも文科省が音頭をとって、日本の科学をこの方向に変えようとして、すぐには役に立たない純粋基礎科学を軽視している」と書いておられる。これは科学に限らない。いつの間にこんなにカネ、カネ、カネと金ばかりを目指すようになったのか。私の周囲にも、兎も角目立てばいい、有名になればいい、そして儲かればいい、という人たちがたくさん居る。本当に音楽を愛するものだけが音楽家になる資格があるのだといい続けたアイザック・スターンを思う。 |
|
|
|
■ 2005.1.11 Tue. 尾高賞の候補作品を1日がかりでじっくり聴く。疲れた。録音で作品を評価すること自体に無理があるのかもしれない。 |
|
|
|
■ 2005.1.12 Wed. お昼の新幹線で仙台へ。日本中を寒波が襲っているが、東京駅では、雪が多くて運転休止などがあるから新潟や青森への旅行はなるべく取り止めてほしいとアナウンスしている。車窓から見る福島付近の雪の多さが特にすごい。仙台も雪。5時、仙台フィル事務所で事務局の人たち、梅田俊明さんと会議。「200回定期」など打ち合わせることも多い。8時過ぎの新幹線で帰京。「歴史を知ることは、今を点検する道標にもなる。言論、表現、結社の自由だけは保障されなければならない」と私と同世代の映画監督が発言しておられるのを読んだ。ビラを配った人が逮捕されて長期間拘留されたり、NHKの放送内容に圧力をかけたという政治家の名前が新聞で報道されたり、不気味である。 |
|
|
|
■ 2005.1.13 Thu. 2時、N響練習所で「尾高賞」の選考。いつもながらせっかくの力作に優劣をつけて切り捨てて行くのは愉快な作業ではない。財界の方たちが集団的自衛権を認めるべきだと発言しておられる。ごく当たり前に、いつでも戦争が出来る国にするつもりなのだろうか。スマトラ島沖の地震で被災した子供たちの心のケアも緊急の課題だということに私も全く同感であるが、戦争に巻き込まれた子供たちもどうすればよいのか。中学1年の冬、自転車で通学する途中、アメリカ軍の爆撃(焼夷弾)で真っ黒焦げになった死体をいくつもスコップでトラックの荷台に放り込むのを見たことが、60年たっても忘れられない私のような子供はどうすればよいのか。今世界では、もっともっと遥かに過酷な体験を強いられている子供たち、殺されてしまった子供たち、大怪我をさせられてしまった子供たち、病気になっても看護してくれる人も居ない子供たちが数え切れないほどである。それを思うことはできないのか。私たちには、もう想像力は無くなってしまったのか。 |
|
|
|
■ 2005.1.14 Fri. 朝の新幹線で名古屋へ。12時、県立芸大のオーケストラ部会。1時から毎年1月恒例のオーケストラ部会と作曲部会共同企画の「音の実験工房」。司会進行(と実は企画の大部分も)は北爪道夫さん。今年は私が指揮を担当して、先ず北爪道夫「映照」を演奏し、それに北爪さんが意見を出して、細部を取り出して練習していく。2人の作曲科大学院生の新作も同様にする。オーケストラが初めて出会う、特に現代の作品を演奏する時、オーケストラに何が要求されるのか、作曲者はどのようなことに注意を払わなければならないか、などを体験しよう、見てもらおう、という趣旨だが、限られた時間の中で何を伝えることができたか、やや気がかりである。新幹線で東京駅へ。そこで家内と落ち合って新幹線で仙台へ。雪が降っているかなと思っていたが、それほど寒くない。数日前の新聞に長い間NHKの中国語講座を担当しておられた陳 真さんという中国のご婦人の訃報が載っていた。私は友人の中国人指揮者の家と、その後には陳 真さんのご自宅でお目にかかっていろいろなお話を伺ったことがある。陳さんのご主人は中国でも指折りの外科の名医だと伺ったが、小柄で優雅な陳さんの日本語はゆったりと実に美しい言い回しと、奥ゆかしい発音で現在の日本では死に絶えてしまったように見える「言葉」というものの魅力と奥深さをしみじみと思わせた。お宅に伺ったときに頂戴した陳さん手作りの餃子の極上の美味と共に忘れがたい。 |
|
|
|
■ 2005.1.15 Sat. 仙台は朝から雪。1時半、仙台放送に出かけて「200回定期」などについての取材を受ける。仙台フィルは何故か放送や新聞に登場することが極めて少ないから、このように取り上げていただくことは大変有難い。その後、青年文化センター・コンサートホールで梅田俊明さん指揮の「定期」の練習を聴く。練習を短めに切り上げて全員が礼装に着替え、数種類の写真撮影。梅田さんと私も加わる。「定期」の開演は7時、酷いお天気なのにたくさんのお客様が来て下さる。ショスタコーヴィチの「8番」という、私にとってはそそり立つ絶壁のようにも感じられる大作に挑んでオーケストラが大健闘。梅田さんにも拍手。 |
|
|
|
■ 2005.1.16 Sun. お昼過ぎの新幹線で帰京。仙台は雨になっていたが福島付近はいつものように大雪。東京へ戻るとやはり、南へ来たなという感じ。とはいっても留守中に日照が少なかったからか我が家が床まで冷え切っている。 |
|
|