■ 2003.5.16 Fri.
 県立芸大の指揮法、モーツァルトの「39番」がどんなに美しくゆたかな音楽であるかをつくづく見直すことができるのは幸せである。楽譜をどのように読み進めば良いのか、作者の考えを更によく知るにはどうしたらよいのか、課題はあまりに大きく、重い。私たちの短い一生では答えなど出ないかも知れないが、しかし、残された楽譜と真剣に向き合う以外に方法は無いだろう。午後はオーケストラ。モーツァルト「25番」を大編成のままの弦楽器で練習、全員に「古典」といわれるものの質を実感してもらいたいからである。間宮作品、少しわかりかけてきた、オーケストラも私も。プロコフィエフ「5番」は第2楽章だけを練習して、あと関谷弘志さんに渡す。チャイコフスキー「4番」第2、第3楽章の練習を見学。新幹線で帰宅。今日は1日中やや涼しいと感じるお天気だった。

■ 2003.5.17 Sat.
 大阪の新聞に、ある指揮者の音楽会の批評が載った。「これほど縦横に動く指揮は珍しい。何かをちぎっては投げつけるような左手の動きなど、あっけにとられるような動作も少なくない」とある。「ただ、聞こえてく音の鮮度が、この指揮ぶりに比べるといまひとつ。」なのだそうだ。私は自分では「ちぎっては投げ」たりしていないつもりだが、よく気をつけなければならぬ。

■ 2003.5.18 Sun
 午後、白金のホテルへ出かけて来年1月の仙台フィルの音楽会を主催してくださる方と曲目などの打合せ。中川演奏事業部長も同席していろいろ細かい点まで点検してくださる。今日も寒いくらいの気温。今頃の中央ヨーロッパの早朝か夕暮れのような感じ。

■ 2003.5.19 Mon.
 強力な伝染病への対応も私たちの国は危なっかしいが、やはり「有事法制」が気がかりである。「中国への侵略戦争と太平洋戦争を支えるために国家総動員体制がつくられ、国民の生活も自由も破壊された戦前の記憶。法制がいったんつくられれば、政府や自衛隊が勝手なことをするのではないかという不信。この法制を通じて米国の戦争に自衛隊が使われるかもしれないという懸念。」を私たちが持つことは「もっともな面もある。」だから「忘れてならないのは、有事法制はあくまでも、万一への備えだということだ。戦争は起こさせてはならない。有事法制は可能な限り使われてはならない法律」であり、「有事を論じることは、有事を起こさせないための外交を論じることでもあることを忘れてもらっては困る。」という主張に同感である。沖縄弁護士会長が、防衛庁主脳も「軍隊は民衆を守らない。有事に民衆は足手まといだ。」と私たちに言っている、と語っておられるのが胸に刺さる。

■ 2003.5.20 Tue.
 天候の変化が激しくて、体調が狂わされている方も少なくないのではないだろうか。東京も夕方から激しい雷雨。小泉首相は自衛隊を軍隊と呼べるように憲法を改正したいと語った。プロコフィエフ「3つのオレンジへの恋」組曲を勉強し始めたが、以前に指揮した時の記憶をたどっても、この作品の演奏(特に弦楽器)はやたらに難しい。ラフマニノフのピアノを聴く。心が休まる。